最近ご質問が多い、ゴムマスターバッチのMSDS(安全データシート)の書き方について加藤事務所で例文を作成しました。 当事務所では日本ゴム精練工業会の委託を受けてCMB標準MSDSを作成中です。
ゴムマスターバッチのMSDS作成例:
NBR バッチの内容を表示しています。 新JIS Z7250-2000対応書式:
安 全 デ - タ シ - ト 製造者情報 会社名・・・・・・:XXXゴム 株式会社 住所・・・・・・:〒XXX-XXXX XXXXXXXXXXX 担当部門・・: 電話番号・・:XXXXXXXXX FAX:XXXXXXXXX 緊急連絡先の電話番号:XXXXXXX 製造者による整理番号: XXXXX 作成・改訂:2003年X月X日 ────────────────────────────────────────── バッチ名 「XXX-XXXXXX 」 ────────────────────────────────────────── 物質の特定 単一製品・混合物の区別:混合物 化学名:NBRポリマー、カーボンブラック、オイル、ゴム薬品の混合物 主成分: NBRポリマー(原料ゴム)とカーボンブラック 主成分の化学式叉は構造式: アクリロニトリルブタジエン共重合体、炭素 化審法番号:NBRポリマー;6-454、 カーボンブラック; 化審法番号 対象外 CAS No.:NBRポリマー 9003-18-3、カーボンブラック1333-86-4 ────────────────────────────────────────── 環境影響性(PRTR法、労働安全衛生法): PRTR法上の指定化学物質の含有量 (1%以上含有しているものを表示します): 特にありません。(注1) 労働安全衛生法上の通知対象化学物質 ( 1%以上含有しているものを表示します): カーボンブラック 10-40% 酸化亜鉛 0-10% 鉱油 0-30% (注2) __________________________________________ 危険有害性: 危険有害の分類には該当しません。 ────────────────────────────────────────── 応急措置: 眼に入った場合:清浄な水で数分間刺激がなくなるまで洗顔した後、必要に応じて眼科医の手当てを受けて下さい。 皮膚に付着した場合:人体への特別な影響はありませんが、必要に応じて触れた場所を石鹸を使用して十分に水洗して下さい。 吸入した場合:固体のため該当しませんが、この製品を過熱、燃焼し発生したガスを吸入した場合は、すぐに通風のよい新鮮な空気の場所に移動させて下さい。もし呼吸器官に炎症を感じたら、すぐ医者の手当てを受けて下さい。 飲み込んだ場合:水で口の中をよく洗浄し、必要に応じて医師の手当てを受けて下さい。 ────────────────────────────────────────── 消火方法:水、炭酸ガス、泡消火、ドライケミカルによる消火が効果的。燃焼や熱分解、不完全燃焼により黒煙、有害な一酸化炭素ガス、窒素酸化物
その他有毒ガスを発生する可能性があります。必要に応じて消火作業時は防毒マスク叉送気マスクを装着してください。 予期せぬ火災、爆発性: なし。通常温度では揮発性なし。 ────────────────────────────────────────── 飛散したものを集め、適当な容器に集めて下さい。 __________________________________________ ・
消防法の指定可燃物であるので、みだりに近くで火気を使用しないで下さい。 ・ 混練り加工、加硫成型加工時に製品中からオイル分、可塑剤分等の揮発分が発生する可能性があります。必要に応じて局部排気をしてください。 ・ 作業後、食事や喫煙をする場合、充分手を洗い、口をゆすいでから食事、喫煙をしてください ・
バラ積みする場合は、荷崩れ防止のため、できるだけ低く積んでください。 ・ 3000kgs以上保管する場合は、ゴム(原料ゴム、マスターバッチ、ゴム半製品、加硫済みゴム製品(難燃性を除く)、ゴムくずを含む)は、消防法上「指定可燃物」となります。市町村条例にしたがって保管してください。(ゴムは、火災が発生した時その火災拡大が速やかで、消火の活動が著しく困難になるので、3000kgs以上の保管には消防当局への届け出が必要です。消防法上許可が必要な「危険物」と異なり、危険物倉庫等の許可は不要ですが、届け出と保管の充分な管理が必要です。) ・ 発熱、発火、変質を防止するため、直射日光、高温多湿、屋外保管を避けてください。 ・ 屋内保管においては、水銀灯、蛍光灯、白熱灯等強い紫外線や高熱を発生する照明の近くには保管しないで下さい。そのために包装の袋から取り出しての保管はしないでください。 ────────────────────────────────────────── 暴露防止措置: 管理濃度:デ-タ-無し、設定されていない 特別な保護具、呼吸用保護具:不要 保護眼鏡:眼、顔面への飛散保護のため、作業時は保護眼鏡(ゴ-グル型等)を使用することをお勧めします。 ────────────────────────────────────────── 外観等:黒色の板状固体 沸 点: - 揮発性:高温にて一部成分が揮発性あり 融 点: - 引火点:本製品は可燃性の固体であります。製品自体が引火性のある物質ではありませんが、高温加熱時に、製品成分中のオイル分がガス状となり、200℃以上で引火する可能性があります。また高温加熱熱分解時、可燃性ガスが発生する可能性があります。 初留点: - 溶解度
水:溶けない 安定性及び反応性: 安定性:通常の状態では、安定です。 反応性:特にありません。 可燃性: 可燃性の固体であり、燃焼時、熱分解時、不完全燃焼時に黒煙や有害ガス(炭化水素類、一酸化炭素ガス等)を発生します。これらの発生ガスは有害なガスであり、消火作業時には必要に応じて防毒マスク叉は送気マスクを装着して下さい。 有害燃焼生成物:炭化水素類、一酸化炭素、窒素酸化物 発火点(自然発火点、水との反応性):無し 酸化性:無し 自己反応性・爆発性:無し 粉塵爆発性:無し ────────────────────────────────────────── 下記参考文献のPRTR法上有害性情報の項をご参照ください。 皮膚腐食性:デ-タ-無し 刺激性:特になし 毒性:デ-タ-無し 慢性毒性:デ-タ-無し がん原性:ゴムマスターバッチとしては発癌性データ
無し 変異原性(微生物、染色体異常):デ-タ-無し 生殖毒性:デ-タ-無し 催奇形性:デ-タ-無し その他:本製品に含まれているカーボンブラックについて、IARC グループ2Bとの評価があり今後注意が必要との報告もあります。 ────────────────────────────────────────── 下記参考文献のPRTR法上環境影響情報の項をご参照ください。 分解性:デ-タ-無し 蓄積性:デ-タ-無し 魚毒性:デ-タ-無し 含有金属に関して主原料、副原料、製造過程での材料として、鉛、ヒ素、6価クロム、カドミウム、水銀は使用しておりません。 ────────────────────────────────────────── ────────────────────────────────────────── 容器については、容器・袋に漏れ・こぼれのないことを確かめ転倒、落下、損傷がないように積み込み、荷くずれの防止を確実に行ってください。異物混入、直射日光による変質を防ぐため、シートを掛ける等予防策をとってください。 国連番号;該当しない ────────────────────────────────────────── それらのデータについては、インターネット上のアドレス:http://www.rubberstation.comからリンクされる「ラバーステーション」サイト内の「ゴム工場でのPRTR法とその対策」の「参考資料編」をご覧になることをお勧めいたします。 ────────────────────────────────────────── |
欄外注意点:
<注1>
1. PRTR法対象化学物質の記載の主な例: 上記MSDSの環境影響性(PRTR法、労働安全衛生法)の欄で、下記配合剤が基本的にマスターバッチに1%以上含まれている場合に、有効数字2桁で記載。含まれていない場合には、「特にありません」との記載とする。その例としては下記のとおり:
特にありません。
加硫促進剤 TT 1.5% ビス(ジメチルカルバモチオイル)=ジスルフィド
加硫促進剤 CZ 1.2%
N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド
加硫促進剤 PZ 1.3%
S,S’-ジンク(Ⅱ)=ビス(ジメチルカルパモジチオアート
老化防止剤NBC,NEC 0.6% 二ッケル化合物 (ニッケル金属分が0.5%以上の場合 記載必要)
可塑剤 DOP 7.2%
フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)
可塑剤 DOA 8.2%
アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)
三酸化アンチモン 5.6% アンチモン及びその化合物 (アンチモン金属分を記載)
鉛丹、リサージ
5.6% 鉛及びその化合物 (鉛金属分を記載)
顔料 酸化クロムグリーン
1.2% クロム及び3価クロム化合物 (クロム金属分を記載)
<注2>
労働安全衛生法上の通知対象化学物質 の記載の主な例 : 上記MSDSの環境影響性(PRTR法、労働安全衛生法)の欄で、下記配合剤が基本的にマスターバッチに1%以上含まれている場合に、おおよその含有量(0-10%との範囲の記載でよい)を記載。下記の配合剤が含まれていない場合には、上記のように、カーボンブラック、酸化亜鉛、鉱油(プロセスオイルのこと)の記載のみでよい。その例として下記のとおり:
老化防止剤NBC,NEC 0-5% 二ッケル化合物 (ニッケル金属分が0.5%以上の場合 記載必要)
可塑剤 DOP 0-20%
フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)
可塑剤 DBP 0-20%
フタル酸ジ-ノルマル-ブチル
三酸化アンチモン 0-20% アンチモン及びその化合物 (アンチモン金属分を記載)
顔料 酸化クロムグリーン
0-5% クロム及び3価クロム化合物 (クロム金属分を記載)
鉛丹、リサージ
0-5% 鉛及びその化合物 (鉛金属分を記載)
BHT 0-5% 2,6-ジ-ターシャリーブチル-4-クレゾール
パラフィンワックス 0-5% 固形パラフィン
酸化鉄、弁柄 0-5% 酸化鉄
ホワイトカーボン 0-40% シリカ
チタン白 0-10% 酸化チタン
その他注意点:
MSDSの書式のJIS化に従い、MSDSのすべてのページの右下には、
①製品名 ②ページ番号 ③MSDS作成日(更新日)を記入してください
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-株式会社加藤事務所-
平成15年2月12日 更新