加藤事務所 ポリマーダイジェスト誌
コラム集
サンプル手配依頼仕事に使える情報集
.平成14年6月号コラム
 タイトル: ゴム工業界とIT化の流れ

今回はゴム業界とIT化についてお話したいと思います。
 この5年間、世の中はIT化の大きな流れの中で進化してきました。ITを活用する事で仕事を効率的に行う事が出来るようになってきました。その1つの例は電子メールです。24時間連絡ができ、相手が不在の時にも伝言を残す事ができ、又記録を残す事もできます。電子メールに文書や画像ファイルを添付することができ、カタログ、技術データ、写真を簡単に素早く、ほとんど無料で送ることができるようになりました。電子メールを活用する事により、コミュニケーションの効率が高まりました。同じく携帯電話を上手く使う事により数年前に比べて、仕事の効率が30%以上高まったのではないかと思います。もちろん電子メールといえども、人と人との間のやり取りですから、道具としてだけではなく、コミュニケーションの質、内容も向上させていかなければなりません。
 もう1つの例は情報検索です。ITを使う事により、世界中の情報を簡単にすばやく手に入れる事が出来るようになりました。例えばゴムの材料、ゴムの成形メーカー、ゴム機械の情報を得ようとした場合、今まではゴム年鑑や欧米のゴムハンドバック、ないしは商社の力を借りて、情報を探して来ました。現在ではゴム材料メーカー、機械メーカーのホームページ、Webサイトを検索する事により、短時間で情報を入手する事が出来ます。最近、東欧のゴム機械メーカーを探す事がありましたが、数分でスロバキアのゴム押出し機メーカーのカタログを入手する事が出来ました。今までは、こんな事は考えられませんでした。また特許情報検索の点においてもこのITは大変便利な道具です。特許庁のホームページを経由して日本で公開されている特許をキーワードを使う事により検索する事が無料で出来ます。どんな特許が存在するかを調べる事が24時間簡単に出来るようになりました。注1) さらに訪問先の地図や天気予報も簡単に手にいれることが出来るようになりました。天然ゴムの今日の値段、最近の値動き、原油価格やナフサの値段動向、これらも今やインターネット上で調査できます。
 情報検索について、もう少し詳しくお話します。今やゴムの材料のカタログ、物性表はインターネットホームページ上でかなりの部分が発表されています。今から7年前にアメリカGOODYEAR社に合成ゴムのカタログを欲しいと電話をしましたらGOODYEAR社から「カタログは送付しない、自社のホームページ上にあるからそれを見てダウンロードして下さい」と言われました。日本では当時それ程ホームページでの情報はありませんでした。その時日本でもこのWebサイト上での情報発信が盛んになると確信しました。また世界のゴム業界のニュースも電子メールやホームページ上で発信されています。私の携帯電話には毎日欧米のゴム業界、タイヤ業界のニュースが電子メールで無料で入ってきます。注2) こういったサービスを受けられるのもこのIT化のお陰です。自動車部品メーカーの技術情報に関する新しい流れもホームページ上でどんどん発表されています。競争相手の製品のカタログを入手する事も出来るようになりました。私は現在ラバーステーション(www.rubberstation.com)というゴム総合情報インターネットサイトを運営しております。注3)これは、これだけ多くのゴム関連の情報が世の中にありますので、それを皆さんに広く無料で使って頂きたいという思いからこの情報発信を始めました。このラバーステーションの中には200ページ以上のゴム関連情報を載せてあり、800社以上のゴム関連企業のホームページにリンクしています。このサイトを運営していますとゴム部品を買いたいとか、中古のゴム機械はないかとか、規格外の安いポリマーは入手出来ないか等の問い合わせが実際数多くきます。日々変化する価格や在庫量を表示するには、このようなWebサイトは有効だと思います。皆さんがこの便利なITを身近に使っていただき、仕事の効率を高めることにお手伝いできればと思っています。
 今後IT化でゴム産業はどの様に変わっていくのでしょうか?ゴムの製品、材料の情報、カタログ、MSDSをインターネット上から入手する事が当たり前になってくるでしょう。又自動車部品業界も自動車メーカーの要請で電子取引、サプライチェーンの輪の中に否応なしに入っていくと思われます。ひょっとするとゴムの物性表からゴムの配合表まで有料でメールを使って発信するような会社が現れるかも知れません。今後は製品を出荷したその試験成績表を郵送やFAXではなく、メールや画像ファイルでお客様に届ける、といった事も可能になります。ファイルで送れば先方もその後の情報の整理がしやすくなります。今後もこのようなIT化はますます進むと思われます。
 気をつけなければならないことは、これらインターネット上に流れる情報は、すべてが正しいとは限りません。どれが信頼性の高い情報かを見極める力が必要です。中には、誤った情報や、古い情報も含まれていますので、この情報の海の中から正しい情報を選び、自分なりの判断に基づいて、情報を整理していく事が大切ではないかと思います。
 このIT化は仕事を効率よく行うための道具であり、また全世界に対して開いた大きな情報の窓です。是非この新しい技術、ITを上手に利用して、世界中の情報を皆さんで共有する事により、より良い社会を作っていければいいなを考えています。

注1)インターネットアドレス http://www.ipdl.jpo.go.jp
注2)インターネットアドレス http://www.rubbernews.com/newsmail/signup.html
注3)インターネットアドレスhttp://www.rubberstation.com



加藤事務所では、ラバーダイジュスト社発行の月刊ゴム・プラスティック関係の総合技術誌「ポリマーダイジュスト」に、「ラバー情報ステーション」のタイトルで、ゴム業界に関する情報コラムを平成14年5月より連載しています。連載後6ヶ月を経たコラムはここに公表しております。最新号の記事は、ラバーダイジュスト社よりポリマーダイジュスト誌をお買い求めください。(ラバーダイジュスト社 電話03-3265-4840)

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更新日2003/07/11
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